科学よもやま話/2020年夏

シリーズ<有明海の生き物>1

東よか干潟に行くと、たくさんの干潟の生物を見ることができます。中でも一番有名なのは、有明海のアイドル、ムツゴロウですね。

ムツゴロウは、日本では有明海だけにすむ珍しいお魚です。コバルトブルーの斑点がとてもきれいで、立派な背びれを持っています。魚ですが皮膚呼吸ができるので、潮が引いた潟の上でも元気に活動することができます。今の季節、東よか干潟に設置されている双眼鏡をのぞくと、大きく育ったムツゴロウの雄が、さかんにジャンプする姿を見ることができます。なぜジャンプしているのかな?

さて、もう1種類紹介するのは、ヤベガワモチです。干潟に降りて、遊歩道のわきにある石をそっとひっくり返してみると、カニや貝を見つけることができますが、よーく見ると、泥の固まりのような生き物に気づくことがあります。それがヤベガワモチ、殻を持たない貝の仲間です。小さな触覚が2本生えていて、ゆっくりと動く姿がとてもかわいらしいですよ。あまり有名な生物ではありませんが、ヤベガワモチもムツゴロウと同じく、日本では有明海だけにすむ生き物で、絶滅危惧Ⅰ類に指定されています。

有明海には、ここでしか見ることのできない貴重な生き物たちがたくさんすんでいるのです。

 

解説:中島 妙見(佐賀市役所環境政策課自然環境係)

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