2022科学よもやま話/冬

  ヤブツバキ
ヤブツバキ

花を咲かせる植物のことを顕花植物と言います。花が咲いて実を結び、その中にタネができます。実を結ぶためには、めしべの先におしべの花粉が付かなければいけません。これを受粉と言います。受粉の主な方法として、風が運ぶ場合と昆虫が運ぶ場合があり、前者のような植物を風媒花、後者を虫媒花と言います。サクラやタンポポ、コスモスなど綺麗な花を咲かせる植物のほとんどは虫媒花で、昆虫に来てもらうために花のつくりや色、さらには開花の時期や時間などを工夫しているのです。昆虫は春~秋に活動します。そのため、大多数の顕花植物はこの時期に花を咲かせます。まれに冬に花を咲かせる植物があり、その代表がツバキです。ツバキが咲くころには昆虫はほとんどいません。辛抱強くツバキの花を眺めているとその謎が解けます。冬でも活発に活動しているメジロなどの野鳥が蜜をなめに来ます。その時に花粉も運んでくれるのです。このような花を鳥媒花と言います。公園や庭のツバキにはどんな鳥が来ているでしょうか。

執筆:上赤博文(佐賀自然史研究会)

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