■ 2019年11月の星空
夏の間、明るく目立って輝いていた木星と土星は姿を消し、すっかり落ち着いた夜空となりました。秋の夜空では、太陽系の遠方の惑星が見ごろを迎えています。南の空のみずがめ座のあたりに海王星、そして南東の空、おひつじ座とうお座の間あたりに天王星が隠れています。どちらも望遠鏡を使うと見ることができます。
南の空を見上げると、頭の上あたりに、4つの星が四角く並んだ秋の四辺形が見つかります。秋の四辺形は、天を翔ける馬ペガススの胴体です。この秋の四辺形の北東角の星から、同じくらいの明るさの星を等間隔に2つたどったあたりが、アンドロメダ座です。ギリシャ神話に登場するアンドロメダ姫の星座で、この星座の方向には有名なアンドロメダ座大銀河M31があります。M31は、私たちの住む太陽系が属する銀河系の外側、はるか230万光年のかなたにある数千億個の星が集まった大銀河です。たいへん遠くにある天体ですが、意外にも双眼鏡で見ることでき、さらに空の暗い場所で目のいい人なら肉眼でも見つけることができます。
東の空からは、M45すばるが顔を出しています。肉眼で小さな星が5~6個ごちゃごちゃと集まって見えるところで、双眼鏡を向けると星団のたいへん美しい姿を楽しめます。すばるは冬の代表的な星座のおうし座にあります。星空でもだんだんと冬が近づいてきましたね。
★ ぜひ探してほしい星たち
【秋の四辺形】2~3等星4つでできる四角形で、夏の大三角ほどは明るくありませんが、まわりに明るい星が少ないので、意外と目立ちます。秋の星座を見つける目印になります。
【フォーマルハウト】みなみのうお座の1等星で、南東の空で輝いています。秋の星座たちの中、唯一の1等星で、「秋のひとつ星」ともよばれます。
【M31アンドロメダ座大銀河】天の川銀河の外側、230万光年彼方にある大銀河です。望遠鏡を使っても、ぼんやりと雲のようにしか見えませんが、実際には数千億個の星の大集団です。
【カシオペヤ座】北の空で「W」の形に星が並んでいるところで、北極星を見つける目印になる星座です。
【M45すばる】おうし座の肩のあたりにある星団です。肉眼で5~6個の星が集まってみえる場所です。
★今月の天文現象と暦
2日月と土星が接近:日没後の南西の空で、土星のそばに月が輝きます。
4日上弦の月:日没の頃、南の空で半月が輝きます。
8日立冬(りっとう):二十四節気の一つで、「冬の始まりのころ」です。
12日満月:月の明るい夜です。
小惑星ベスタが衝:小惑星ベスタがくじら座のあたりで6.5等級となり、比較的見ごろです。双眼鏡や望遠鏡で観察できます。
15日くじら座のミラが見やすい:約332日の周期で2~10等級に明るさを変化させる、くじら座のミラが最も明るく輝いて見えるころです。見えたり見えなかったりするミラは「不思議な」という意味があります。
18日しし座流星群がピークのころ:夜半後に出現が増えますが、月明かりがあるため条件が悪く、1時間あたり5個程度と予測されています。
20日下弦の月:夜明けの頃、南の空で半月が輝きます。
22日小雪(しょうせつ):二十四節気の一つで、「北国から雪の便りが届くころ」という意味です。
24日木星と金星が接近:夕方の西の空で、木星(-1.9等級)と金星(-3.9等級)が接近して輝きます。
27日新月:月明かりのない夜です。
28日水星が西方最大離角:明け方の東の低空で水星が見ごろです。
★ 惑星
・水星は、上旬は観察が難しいですが、下旬には西方最大離角となり、日の出前の東の空で観察しやすくなります。
・金星は-3.9等級の明るさで日没後の西の空にあり、下旬になると見つけやすくなります。昼間、望遠鏡を使うと観察できます。
・火星はおとめ座にあり、明け方の東の低空でにあり、明るさは-1.8~-1.7等級です。
・木星は日没直後の西の低空にあり、下旬には金星と近づいて見えます。
・土星は日没後南西の低空で輝き、明るさは0.6等級です。観望シーズンはそろそろ終わりです。
・天王星はおひつじ座にあり、明るさは5.7等級で、望遠鏡を使うと見ることができます。
・海王星はみずがめ座にあり、7.8等級の明るさで、望遠鏡を使うと見ることができます。