【お天気教室】宇宙から見た夕焼け
秋は夕焼け・夕映え(ゆうばえ)がきれいです。雲は茜(あかね)色に染まり、空の色は赤から橙(だいだい)色になります。これらの色は、夕方の太陽が雲や大気を照らしている色です。秋分の日に太陽が地平線に沈むころ、太陽の光は約1000㎞西方の中国上空から大気圏に入ってきます。秋から冬にかけては、西方の大陸は晴れていることが多く、さえぎられることなく佐賀の空を照らすため、きれいな夕焼けになります。
太陽の光は、赤から紫の光が合成されています(左図)。大気は無色透明ですが、光の色によって大気中の伝わり方が違います。紫・青の光ほど、周囲に飛び散りやすく、赤い光ほど、ほとんど弱まることなく通過し、遠くまで届きます。
日の出・日の入りの頃は、太陽の光は斜めから地上に達するので大気中を通過する距離が長くなり、赤い方の光が残されます。これが、赤から橙色の夕陽となり、雲や大気を染めます。一方、真昼は太陽の高度が高く、大気中を通過する距離が短いため、飛び散りやすい紫・青色の光の一部が空の色、青空になります。
上記の写真は、気象衛星ひまわりから見た日没直後のインド洋上空です。黒は宇宙空間、青い色の帯が大気圏で、青空の色でもあります。赤い色が地球表面の夕焼けの色です。
執筆:高瀬邦夫(佐賀天文協会、元・佐賀地方気象台長)
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