2025 科学よもやま話/秋

お茶はくすり?


 人類がお茶を飲み始めたのは今から約2500年前とされています。お茶の原料はツバキ科の植物ですが、ツバキ科植物は世界の熱帯や亜熱帯に約500種あります。
 ではどうしてこの中からお茶の木を見つけたのでしょうか。恐らく、昔の人は食べるものに困って、身近にある植物を手当たり次第、口にして食料価値のあるものを探していたのではないでしょうか。そして、偶然にもお茶の葉を食べたところ、興奮して眠れないとか、疲れがとれるなど、何らかの体の変化に気づいたのではないでしょうか。
 後の時代になってわかったのは、この原因はお茶の葉に含まれるカフェインという物質によることです。この物質は他のツバキ科植物には含まれていません。このカフェイン、今では眠気覚ましや集中力を高めるものとして、また風邪薬などに使用されています。
 最近、茶カテキンという言葉をよく耳にします。これはポリフェノールという物質の一つで、お茶の渋みのもとです。最近の研究により、この茶カテキンには老化防止やガン、動脈硬化、脳卒中などを予防する効果があることが報告されています。また、体の脂肪を減らすことから広くダイエットにも利用されています。
 このようにお茶は様々な効果を持つ飲み物です。

執筆:野中源一郎(野中烏犀圓当主 / 薬学博士)

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