2021年科学よもやま話/夏

夏に消える虫

ここ数年、猛暑や酷暑と呼ばれる暑い夏が続いていますが、昆虫たちは、夏をどう乗り切っているのでしょうか。
北米原産のセイタカアワダチソウには、5月頃に赤いアブラムシがたくさん付きます。やはり北米原産の、セイタカアワダチソウヒゲナガアブラムシです。この虫は、暑くなると佐賀平野から姿を消します。夏の間、一体どこにいるのでしょうか?
私たちが調べたところ、夏には標高500m以上の涼しい場所で細々と生き残り、秋に有翅虫という羽がある成虫が平野へと移動してくることが分かりました。平野では、その子孫が春に大繁栄しますが、夏までに死滅して、秋に再び移動してくる、ということを毎年繰り返しているようです。アブラムシの仲間では、夏に見られなくなるものが他にも知られていますが、どこでどう過ごしているのか、分かっていない場合も多いです。
皆さんも、熱中症に気をつけて、「夏のアブラムシ」を探してみませんか。

執筆:徳田誠(佐賀大学農学部 生物科学コース システム生態学研究室)

..科学よもやま話のアーカイブ…
2020年夏    シリーズ<有明海の生きもの1>
2020年秋    シリーズ<有明海の生きもの2>
2020年冬    シリーズ<有明海の生きもの3>
2021年夏    シリーズ<夏に消える虫>